日本ワイン&ワイナリー巡りin山梨Part3「奥野田ワイナリー」

山梨

日本ワイン業界個人ワイナリーのパイオニア「奥野田葡萄酒」

全国各地に意欲のある(個人)独立ワイナリー(マイクロワイナリー)が設立。

日本ワイナリーの個人経営のパイオニアとして、奥野田ワイナリーがあります!自社農園を中心とした地域で栽培される良質な葡萄を用いて、素晴らしいワイン造りをする。

Okunota Winery | 奥野田葡萄酒醸造株式会社|Okunota Winery | 奥野田葡萄酒醸造株式会社
Okunota Winery | 奥野田葡萄酒醸造株式会社

今回は、山梨県甲州市の塩山駅を降りて、3件!

併せて、読んでもらえたら嬉しいです!

🌟訪問ワイナリー🌟

機山洋酒工業
甲斐ワイナリー
奥野田ワイナリー

ではでは、早速!

個人ワイナリーのパイオニア「奥野田ワイナリー」

奥野田ワイナリーは、甲州市塩山に位置するとても小さなワイナリーです。

📄歴史・年号📝

1962年

奥野田葡萄酒醸造 発足

1989年

中村さんが譲渡・経営「奥野田葡萄酒醸造」設立

1996年

「日灼圃場」スタート

1998年

農業生産法人「夢郷葡萄研究所」設立

「桜沢圃場」スタート

2001年

「長門原圃場」スタート

2008年

「日灼圃場」にて、収穫イベントやオーナー制度を行う。

2010年

富士通GP2020ワインファーム活動 

2012年

夢郷葡萄研究所と奥野田葡萄酒醸造 統合

🍇ぶどう栽培と畑🍃

栽培ぶどうカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シャルドネ(平垣根栽培)
デラウェア(棚栽培)
自社圃場約1.5ha(4つの圃場を運営)

奥野田ワイナリーは、4つの圃場を持ち、垣根の両面に一日を通して均等に日が当たるよう、全ての畑の畝(うね)は真南を向けています。

それにより、畝間に強い日差しが当たり、大地を暖めて地温を上昇させ、葡萄の熟度を高める効果があります。

日灼圃場(1996年~)

栽培面積15a 
栽培ぶどうカベルネ・ソーヴィニヨン
4つの圃場の中で、唯一の平らな土地。奥野田ワインの北セラー正面に位置する平垣根の畑。

この畑は、「日灼」の名にふさわしく、日当たりが良く、高い熟度の葡萄が収穫できます。

桜沢圃場(1998年~)

栽培面積30a 南西向き斜面
栽培ぶどう13a シャルドネ(垣根栽培)
17a デラウェア(棚栽培)
標高500m
土壌表土が平均15cmと薄く、下には花崗岩、さらにその下には甲州御影石の山になっているそうです。
🌟一般的には多様な地層の中で、より複雑な味わいのワインが生み出されるといわれています。

苗から育てたこの畑のシャルドネは、樹齢20年を越え、深層から吸い上げる豊かなミネラルにより、しっかりとした骨格のワインを造り出します。

神田圃場(2000年~)

栽培面積45a
栽培ぶどうメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン
標高450m
土壌花崗岩を含む深い赤土。ぶどう栽培に最適な少し痩せた土壌

長門原圃場(2001年~)

栽培面積20a 南西向き斜面
栽培ぶどうシャルドネ
標高500m
土壌桜沢圃場と同じ(桜沢と長門原の圃場間は、100m程度)
急斜面にある最も新しい平垣根畑です。
一番新しい圃場で、これまでのノウハウが詰まった畑とのこと!
総生産量約40,000本

『奥野田ワイナリーの始まり』

奥野田ワイナリーが位置するのは、甲府盆地東部の日当たりのよい斜面、水はけのよい土壌を有した甲州市奥野田地区。

奥野田ワイナリーの発足は、この土地で栽培を行う農家数軒がぶどうを持ち寄り、醸造場としての「奥野田葡萄酒醸造」です。

その後、農家の高齢化と担い手不足に伴い、当時グレイスワインで有名な「中央葡萄酒」の醸造長として働いていた中村氏に話が届き、中村氏が26歳の時に奥野田葡萄酒を取得します。

ワイン造りは、葡萄栽培から

「ワイン造りは質の高い葡萄から」をモットーに自然農法にこだわっています。

複雑な地層を有した圃場から、毎年クオリティの高い葡萄を育て、極力手を加えずにワイン造りへと反映しています。

日本のテロワールを魅せるワインを造りたい

中村さんは、日本での栽培が困難とされていたヨーロッパ産品種のぶどうを使い、日本のテロワール(注)の魅力を活かしたワイン造りをぶどう栽培から実践しています。

当時は、国際品種を植樹することは、ワイン関係者のみならず、ぶどう栽培家にも驚かれたようで、「クレイジージャーニー」として、名を馳せたとかw

(注)テロワール(Terroir):フランス語で「風土の、土地の個性の」と訳されています。一般に気候、土壌や地形などワインをとりまく環境全体を指していわれます。

ヨーロッパと真逆な環境下でも、成熟する欧州ぶどう品種の秘密!

ヨーロッパにおけるぶどう栽培の好条件

良質なぶどうが作られるためには、適度な負荷(ストレス)をぶどうにかける必要があります!

  1. 「石灰土壌」
    1. 石灰土壌が、ぶどうの栄養吸収阻害します。
    2. ぶどう自身は、限られた栄養を蓄積しようとします。
    3. 結果、栄養を蓄積した熟度の高いぶどうを栽培できます。
  2. 少ない雨量
    1. 雨の少ない土壌の表面は、乾燥気味になります。
    2. ぶどうは、水分を求めて地下深くまで根を伸ばします。
    3. 地下水は、雨水よりもミネラルが豊富で、熟度の高い果実を実らせます。
  3. 痩せた(栄養素の少ない)大地
    1. ぶどうは、より栄養のある土地に実をつけるため、動物たちに食べてもらおうとします。
    2. 食べてもらうには、ぶどう自身も美味しくならないといけないと自覚しています。
    3. 美味しい実=熟度の高い実をつけます。

日本のぶどう栽培環境下

※(前置きとして)日本全国で、テロワールが異なるため一概には言えないですが。。。

日本の土壌・環境は、ぶどうがノビノビ・ヌクヌク(NOストレス)で育ち過ぎます!

  1. 石灰土壌ではない
  2. 梅雨などにより、雨量が多い
  3. 土地に栄養価が多く、肥沃

明治時代は、湿潤にも強いアメリカ産品種のぶどうとの交配により、日本の気候や土壌でも栽培可能なワイン向けのブドウ品種が開発されました。

これが、最近まで欧州ぶどう品種よりも北米品種(ナイアガラやコンコード、デラウェアなど)が日本において繁栄したといえます。

「微生物の力」でぶどうに適度な負荷をかけるという発想の転換

この環境下から「奥野田ワイナリー
微生物学専門家中村社長!オンステージ!!

ヨーロッパの負荷

1)栄養吸収阻害

2)水分不足

3)栄養不足

これを転換

⏩⏩⏩

日本の負荷

1)微生物の力

2)密植

「日本の肥沃な土壌に存在する『微生物の力』で、ぶどうに適度な負荷を与えれば、高品質なワイン用ブドウになる」という発想の転換です。

山梨県の土地は、肥沃で雨量も多いので微生物が多く繁殖し、栄養分を横取りしてしまうのです。

その結果葡萄の木は栄養不足となり、ヨーロッパの葡萄と同様に実の糖度を高めてほかの土地に移動しようとしているのです」

ヨーロッパの1000倍もの微生物が存在する日本の土壌

ヨーロッパでは1立方cm当たり10の8乗、つまり、1億個の微生物が生息しています。これが日本の土壌になると、10の11乗、1000億個の微生物が生息していることわかっています。

微生物は菌体内に養分を蓄え、固定化する性質があります。

私はこの微生物の特徴を活用することで、ヨーロッパの栽培環境を再現しなくても、高品質なブドウが栽培可能だと考えました。地中にいる多くの微生物が、土壌の養分を菌体内に貯めることができれば、ぶどうは養分を吸収しにくくなり、これがぶどうにとっての「適度な負荷」になります。ヨーロッパのぶどうは石灰分や乾燥によって「適度な負荷」をうけますが、日本でも微生物によって「適度な負荷」をうけた状態でぶどうを栽培することが可能になるのです。

「密植」で、ぶどうに程よいストレスを

奥野田ワイナリーでは、ぶどうの木に「程よいストレス」を与えるため、密植を行っています。

木と木の間隔が狭いことで、隣の木の根の存在をストレスに感じます。

そのため、ぶどうの木の根は、下へ下へと根を張っていき、表面の雨水ではなく、ミネラル豊富な地下水を吸収することになります。

(ここで、ヨーロッパの雨量が少ない環境下と同じ状況が作られます)

「ミネラルを多く含む葡萄果汁は酸化しにくいため、酸化防止剤を多く用いる必要がありません。酸化防止剤は、テロワール独自の野生酵母には大きなダメージを与えてしまいます。

野生の酵母をなるべく生かして、時間をかけてじっくり発酵させるワイン作りにこだわっています。

こうして作ったワインは、明らかに味わいや余韻が違ってくるのです」

ぶどう栽培に窒素は必要!だけど、与えすぎには御用心!

ぶどうは、窒素を養分として育ちますが、窒素が多すぎるとワイン造りに適した果実が得られません。

つまり、ワインに適した熟度の高いブドウを栽培するためには、ぶどうが吸収する窒素成分をコントロールする必要があります。

そのため、奥野田ワイナリーの圃場には、ぶどうと一緒にマメ科植物が植え付けてあります。

ぶどう畑に、マメ科植物がある理由!

マメ科植物は空気中の窒素を吸収し、その根に養分を蓄えます。

枯れた後も根には窒素成分が残り、微生物の栄養源となります。

マメ科植物が根に窒素を蓄える。

この窒素を栄養源とする微生物が増える。

微生物は窒素などの養分を体内に蓄える。

ぶどうには、養分吸収のための適度な負荷がかかる。

この循環によって、窒素過多による過繁茂も防ぐことができるのです。

まとめ

  • 昨今の個人ワイナリ=(マイクロワイナリー)のパイオニア
  • 微生物学からアプローチするぶどう栽培
  • 適度なストレスが最良のぶどう造り
  • 情報盛りだくさんのため、当ブログ初の2部構成

次回予告!情報盛りだくさん「奥野田ワイナリー」後編

  1. 「富士通グループ」ICT技術を活用したぶどう栽培
  2. 奥野田ワイナリークラブ
  3. 訪問記

交通アクセス

🚙車中央高速道路
勝沼ICから約15分
駐車場有り(バス:1台、普通:20台)
🚃電車中央本線 塩山駅
👟徒歩 20分
🚕タクシー 5分(※1,000〜1,500円程度)

ワイナリー情報

奥野田葡萄酒醸造株式会社

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営業日/時間 10:00~12:00/13:00~17:00 (12:00~13:00はお昼休みとなります。)

定休日   毎週水曜日

⚠️訪問の際は、事前に連絡しましょう!

Tel 0553-33-9988

E-mail information@okunota.com

ワイナリー見学

▶ワイナリー体験コースは、2つ

1)プレミアムテイスティングコース(所要時間20分程 お1人様500円)

ワイナリーお勧めワイン3~4種をテイスティングしていただきます。

2)ワイナリー満喫コース(所要時間 50分 お1人様1000円)

畑(HIYAKE VINYARD)、セラー見学、その後ワイナリーお勧めワイン3~4種をテイスティングしていただきます。

※ワイナリー満喫コースは2名様以上でご予約をお願い致します。

※ワイナリー満喫コースは10時15分スタート、13時15分スタート、15時スタートの3コースとなります。

直売所

有り

試飲:有料

所在地 404-0034 山梨県甲州市塩山牛奥2529-3

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